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屋内外の受動喫煙対策が必要な理由
タバコ煙の性質について

屋外喫煙所から発生したタバコ煙はどこに行くのでしょうか?

解説

①:焼却炉で燃焼した煙は、大量で高温なので、無風の場合には、周囲の空気の温度と同じになるまでほぼ垂直に上昇します。

②:一方、タバコ煙の主流煙は、肺に吸い込んでから排気されるので、体温より低い温度ですので、無風の場合には、ほぼその位置に留まります。

③:副流煙の場合は、主流煙と違い、燃焼温度が低く、燃焼スピードも遅いので、時間当たりの発生量は少なくなります。従って、すぐに周囲の外気温と同じになり、その位置に留まります。

 タバコ煙(主流煙+副流煙)は、無風の場合、喫煙所から周囲7m(直径14m:*1)は粉塵が粉塵測定器で測定されています(ブラウン運動?)。

 タバコ煙に含まれている有毒物質(発癌物質や有害物質)は、最終的には、太陽の紫外線等で分解されますが、それには時間がかかります。

 逆に、玄関や窓からタバコ煙が侵入して建物内に入ると太陽の紫外線で分解できないので、有毒物質が排気されるまで、建物内にいる人すべてが吸い続けます。

(人事院が屋外の喫煙所から建物の窓や玄関から侵入していないか、3カ月に1回以上、粉塵測定器で計測するよう通知を出しているのもこのためです。)

人事院 通知:職 職-102
令和2年3月2日
人事院事務総局職員福祉局職員福祉課長
職場における受動喫煙防止対策の留意点について(通知)
人事院では、健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号。

https://www.jinji.go.jp/kisoku/kaisei/kaisei_tsuuchi/fy2019/kitsuen-102.pdf


                                      
 本人も周囲の人も全くタバコを吸わない人が癌や糖尿病、リュウマチなどの疾病にかかり、遺伝子解析すると、たった一個のタバコ由来の発癌物質(たばこ特異的ニトロソアミン)が、原因だったと2000年に科学的に証明されています。今日吸い込んだ発癌物質がDNA付加体となった場合、その多くは約25年後に症状としてあらわれてきます。

 従って厚労省は通学路などの屋外においても徹底した受動喫煙対策をするよう2000年に各自治体に「健康日本21」で通知しています。

 従ってコンタクトレンズのメニコンの会社などは、喫煙したあと、45分間は有毒物質が喫煙者の呼気から排気され、建物内に放出されると、その有毒物質が換気されるまで建物内にいる人すべてが吸い続ける事になるので喫煙した人は1時間は立入禁止にしています。

 民間の施設すらその建物内で勤務する職員や訪問者の健康に留意しています。本来ならば、庁舎や裁判所も見習うべきでしょう。(受動喫煙の健康被害を受けたか否かの証明は尿検査や髪の毛からニコチンの代謝産物であるコチニンの有無で出来ます。職員からコチニンが検出された場合には、施設管理者はメニコンのような方法を採用すべきでしょう。)

www.asunet.ne.jp/%7ebbb/995-47.html


上記の説明で、理解できたと思いますが、タバコ煙は、焼却炉の煙と異なり、上には上昇せず、ほぼ横に広がります。

 例えば風速2mの場合には、風下20m離れた場所で10秒後に有毒物質が流れてきます。こんな短時間では太陽の紫外線では分解されません。ですから、原則敷地内禁煙、屋外に喫煙所を設置する場合には煙が漏れない閉鎖式喫煙所なのです。

                                     
=考察=
 タバコ煙も焼却炉の煙も一度処理してから排気させないと周辺に健康被害を与える事がおわかりになられたでしょうか?


東京地方裁判所の判例

判 決 :平 成 16年 07月 31日
東 京 地 方 裁 判 所
平 成 11年 (ワ ) 第 13320 号
原告:江戸川区職員
被告:江戸川区

損 害 賠 償 請 求 事 件(受 動 喫 煙 賠 償 請 求 事 件 )

主 文:被 告 は、原 告 に 対 し 、金 5 万 円 を 支 払 え 。

上記の事件については、
道路局道路交通管理課 千 木 良 敷 之氏
が受動喫煙の健康被害について解説しています。
0412soshoujirei.pdf (hido.or.jp)


*1:東京都八王子市HPより抜粋
喫煙マナーを大切にしよう|八王子市公式ホームページ (city.hachioji.tokyo.jp)
たばこの煙は無風でも※7m先まで届くといわれています。
※日本禁煙学会「屋外における受動喫煙防止に関する日本禁煙学会の見解と提言」より


参考までに

事例1:神奈川新聞 2016年5月19日
自動車教習所の運営会社が受動喫煙による健康被害についての従業員との訴訟で「100万円」の和解金支払い。
 
事例2:毎日新聞 2016年6月4日
積水ハウスが受動喫煙による健康被害についての従業員との訴訟で「350万円」の和解金支払い。