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私の主張 掛園浩

佐賀新聞:掲載日2006年09月14日 <自>

鹿島市・掛園浩

〈治安維持へDNA登録制度〉

 かつて日本は世界一安全な国だといわれていましたが、今ではその神話は崩れてしまいました。以前、米国のロサンゼルス市だったと思いますが、財政悪化のため、警察官の数を減らしました。するとその分、犯罪が増えました。日本も増加する犯罪を防ぐために、警察官の数を増やしていますが、それにも限界があります。莫大(ばくだい)な税金をかけず、犯罪を防ぐ最大の方法は、犯人検挙です。

 現在、DNA鑑定の発達により、犯行現場で犯人を特定する事が容易になりました。犯人の髪の毛や体液、皮膚の一部でも残っていれば、その持主がわかります。一九九六年に米国で起こったジョンベネ・ラムジちゃんの殺害容疑者のDNAはわかっています。しかし、現時点では、このDNAの持主が誰だかわからないだけです。国民全員のDNAが登録されたら、犯人はすぐ特定されるはずです。

 国民全員をDNA登録するのは、プライバシーや予算の問題もあってすぐにはできないかもしれませんが、犯罪を起こす人はわずかな人です。そのわずかな人のために、治安維持という莫大な税金が必要なのです。

 従って、ガソリン税と同じように、自動車を使う人が、道路の建設費を多く収めるのと同じように考え、治安維持税を設立し、DNA登録に応じる人は、税金を免除し、応じない人は、課税する仕組みにすれば、税の公平性やプライバシーの問題も解決すると思います。

 外国の入国者に対しても、パスポートにDNA鑑定に応じている人は、入国費用は無料で、応じていない人は、入国費用を課税する制度を設立していけば、治安維持やテロ対策の費用にも充てられます。また、多くの国際犯罪やテロも防ぐ手段の一つになると思います。

 一つの事件が発生すると、解決するまで多額の捜査費用と時間と人員が必要です。事件が未解決ともなれば、被害者やその遺族の怒りや悲しみは永遠に解決されないでしょう。

 治安維持のために、税金の投入は必要ですが、税金が際限なく投入されるのでは、次世代の日本を担う若人に、さらなる負担がかかります。

 DNA登録を日本が国内のみならず、国際規模で提唱し、それが実現して治安維持やテロ対策にかかるコストが浮いた費用を世界平和に利用すると表明すれば、賛同してくれる国は多いと思います。

 現在、日本にいる外国人は五百万人にも達しようとしています。これは単純に計算しても日本に住む人の二十五人に一人が外国人という数になります。

 治安維持は日本だけの問題ではなく、国際的な問題です。日本は、積極的にDNA登録を取り入れて、かつての世界一安全な国の見本となる事を望みます。