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私の主張 掛園浩

佐賀新聞:掲載日2003年02月20日 <自>


〈たばこをやめよう〉

鹿島市・掛園浩

 四月からサラリーマン医療費の二割負担が三割になり、保険料も増加する予定です。将来のことを考えるならば必要な処置なのかもしれませんが、人が病気にならないように政策転換すれば、医療費も削減出来ます。人が生命を脅かされる病気になったり、そのために死亡したりする最大の原因は、たばこの煙に含まれている六十種類の発がん性物質(0・5〜1_c)と約百四十種類の有害物質を吸入するためです。

 たばこ会社は現在売り上げの六割以上を税金として納め、そのほか従業員の賃金やたばこの材料などを払うことで日本経済に年間約二兆八千億円の貢献をしています。しかし、たばこによる損失は医療費・死亡による喪失国民所得・消防・清掃などを含め年間約五兆六千億円です。従ってたばこによる国家損失は、年間約二兆八千億円にもなります。

 欧米では、たばこ消費者の二人に一人がたばこ病によって死亡した教訓をもとに、一九八八年にWHO(世界保健機関)指導のもと禁煙運動が始まりました。その結果、欧米では肺がんの死亡率は下がりましたが、日本は、その勧告に従わず、世界でも例をほとんどみないたばこの自動販売機をいまだに撤去しようとしていません。これが未成年の喫煙を野放しにしている最大の原因です。

 二十歳未満は、成長という細胞増殖が盛んな時期なので、それだけ多くの発がん性物質が細胞の中に取り込まれてしまいます。従って三十五歳から喫煙を開始した人に比べてがんの発症率は四・二倍にもなります。

 日本は先進国の中で一番たばこを吸う国になりました。そして、一九八一年以来日本人の死因のトップはがんで、その種類別では男性が「肺がん」で、女性では「胃がん」です。しかし、近年女性の喫煙率が上昇し、数年以内に女性の死因のトップが「肺がん」になることが確実です。

 いまの若い世代の「喫煙」を抑制しなければ、十五〜三十年後には、膨大な医療費が必要になる事をWHOは日本に警告しました。この警告を狂牛病と同じように、また無視するならば、医療費不足で、本当に必要な人の医療費まで削減しなくてはならなくなる悲劇の日が来てしまいます。

 たばこはやめましょう。そして未成年者に喫煙しないように呼び掛けましょう。それが日本国の将来の医療費を確保する最大の得策なのです。