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減塩して健康維持を!

 佐賀新聞 2015年09月18日掲載

 約7万年以前の人類は、高血圧の人はほぼいませんでした。約7万年人類が塩を調味料として使う事を覚えてから、高血圧で死亡した遺体が見つかるようになりました。アフリカのカメルーン地方のピグミー民族は、現在でも塩を調味料として使う風習がないので、70歳を超えても高血圧の人はいません。日本人は世界でもっとも塩分を摂取する国のグループです。このため、世界でもっとも高血圧と胃ガンが多い国のグループです。欧米では、冷蔵庫が普及してから塩漬け製品の消費が少なくなってきたので、高血圧や胃ガンが減少しました。
 
 摂取した塩は、その同量を、数日以内に排出しないと体内の塩分濃度が上昇し生命の維持が出来なくなるので、腎臓を酷使して約95%を尿(残りは糞や汗等)から排出します。逆に塩が不足すると、塩分の排出が必要なくなるので、尿や汗に塩分がほとんど含まれなくなります。
 塩分は、大地に育つ草やそれを食べる動物にも含まれているので、草を食べて育つ牛の乳(牛乳)には、スポーツドリンクに含まれている以上の塩分が含まれています。ですから、飢餓状態でない限り塩分の補充は不要です。
 
 以前は熱中症予防に塩分を摂取しましょうという事が報道されていましたが、熱中症は、身体に必要以上の熱がこもり、身体が熱で損傷を受ける病気です。これを防ぐため、人類は進化の過程で汗を気化して身体を冷却する能力を得とくしました。体温が平熱から5℃上がると死亡しますが、500ccの汗で体温を5℃(体重70kg)下げる事が出来ます。(*1)
 
 現在、日本人は塩を約12g、欧米人は約6g摂取していますが、WHO(世界保健機関)は、1日の塩分を5g未満にするよう勧告しています。
 日本人の成人の3人に1人が、高齢者では3人に2人が高血圧です。
また、日本人の死因のトップはがんで種類別では一位が「肺がん」で2位が「胃がん」です。
 自分の将来のために、そして自分の家族のために減塩して健康を!
 
 
(*1)汗は体温を下げるために出しているのでこれをハンカチ等で拭き取ると、体温が下がらず、熱中症に繋がります。汗が出た場合、うちわ等で気化させると、体温が下がり、必要以上に汗が出なくなります。日本より暑い国の人が熱中症になりにくいのは汗を拭かないからです