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CTスキャンの被爆量
【ワシントン2007年11月29日共同】

 

放射線を利用するCTスキャンの使用頻度が米国で急増、将来のがん患者のうち約2%をこれらのCT検査による被ばくが引き起こす恐れがあると、米コロンビア大の研究チームが米医学誌に29日発表した。

 チームによると、米国の医療現場でCTスキャンの使用回数は1980年の約300万回から2006年には約6200万回へと急増。断層画像を取得するのに何度もエックス線を照射するため、撮影1回当たり15―30ミリシーベルトを被ばく。一連の検査でこれを2、3回繰り返し、計30―90ミリシーベルト被ばくするという。

 通常の胸部エックス線撮影では0.01―0.15ミリシーベルト、乳がん検診では3ミリシーベルトを被ばくするとされる。チームは広島や長崎の原爆被爆者の疫学データと比較するなどした結果、現在のCT検査による発がんリスクが将来、全米のがん患者の1・5―2・0%に達すると推計した。

医療用放射線とタバコ

  医療用の診断に使われるCTスキャンの使用頻度が急増し、この時浴びる放射線の影響で、将来がん患者のうち約2%がこれが原因になる恐れがあると米国(*1)で発表されました。

 CTスキャンの被爆量は通常の胸部X線撮影の約200枚に相当します。(医療で使うX線は治療や診断に不可欠ですので、撮影による被害よりも有益な場合のみ撮影します。)

 胸部に年2回のCT撮影すると、これは1年間胸部X線撮影を毎日している時の被爆量に匹敵します。このような撮影を生涯続けたら、「危険」だという事が理解できると思います。

 一方、タバコ煙には発がん物質が含まれています。1日1箱吸う人は、胸部X線を毎日2.5枚撮影している時のリスクに匹敵します。ですから、先進国(発展途上国は栄養失調)の人が生命を脅かす病気になったり、そのために病死する最大の原因はタバコであるという勧告がよくわかると思います。タバコはやめましょう。

喫煙による肺がんのみのリスクは胸部X線撮影1枚分です。
しかし、タバコによるすべてのリスク(脳卒中、心筋梗塞等)を含めると2.5枚分になります。